圃晏展 無拘の美術家 宮澤好男
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3月上旬、春の温かさを感じる時季に、池田町にある北アルプス展望美術館で企画されている4部(工芸)の宮澤好男先生の「圃晏展」を訪れました。
展示室最初の「独り言」の『無拘』…しがらみも無く、こだわりも無く…などの言葉から宮澤先生のお人柄を感じることができました。そんな人柄を感じながら、これまでの集大成といわれる陶芸や絵画併せて100点ほど作品を見て回りました。
会場のフロアには、圧倒する数の抽象的なオブジェ作品が置かれ、同じような作品の中にさまざまな変異がもたらされ、作品一つ一つ異なるモノクロームの表現を感じることができました。
そんな抽象的なオブジェの一方で、鉄や銅などの釉薬が使われたお皿や花瓶などの技術や表現から陶芸経験の深さを感じることもできました。
また、陶芸といえば宮澤先生、というイメージですが、今回の展覧会は、絵画作品も展示され、抽象的な作品にも魅了されました。先生の画歴も長いという言葉にも納得しました。
素晴らしい作品に圧倒されましたが、先生の次の言葉も印象に残りました。
「既成概念からの脱出と自己脱皮を試みてきたものの、しかし、未完。」
工芸、美術会の先頭に立たれている先生においても、「未完」であるということ。私たち表現者とって、追求は永遠に続いていくのかもしれないと感じさせられました。
美術館を出て、アルプスの山並みをしばし眺め、私も自分の制作において、既成概念からの脱出と自己脱皮を試行してみようと感じた展覧会でした。
(広報委員長 2部 今井順也)
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