中信美術会は昭和23年(1948年)まだ戦後の精神的荒廃が続くなか、いち早く作品制作に立ち戻った作家たち、そして美術の振興によって復興をと願った美術家によって組織され、そしてそれを支える支援者もあった。
(沿革文末の −ちょっと一言− 参照ください)
安曇、松本平に都会より疎開していた宮坂勝、石井柏亭をはじめとして木村辰彦・近藤光紀・高山完、香取秀真、野本文雄、保尊良朔・山口蒼輪・白山卓吉・上条俊介・太田南海・滝川太郎・佐原修一郎・小川大系・・・等々多士済々な人たちが戦争が終わってもとどまっていた。 第一回中信美術展出品作品には、このなかの顔ぶれも多く見られる。
中信美術会初代会長には宮坂勝、庶務に関四郎五郎、会計に石曽根貞亀が就任した。発足したその年に開催された第1回中信展出品目録には、現在顧問の西澤洋、柳沢健、高山晃、洞沢今朝夫諸氏の若き日のお名前も見られる。
また松本出身で、今や世界的芸術家として松本市美術館にも多くの作品が収蔵されている草間弥生も若いとき中信展に出品した。
10年後の第10周年記念展時には石井伯亭の口ききもあり川口軌外、山口薫、中川一政、福沢一郎、鳥海青児、田崎広助、林武、三岸節子、ピカソ(作品)、ルノアール(作品)らの作家の作品が特別展示され、その当時思わぬ多くの参観者を集めている。
以降開催会場を転々とし、常に付きまとった美術展会場難が時として美術館建設運動に拍車がかかり、粘り強い建設運動の結果、長い年月を待った念願の松本市美術館建設・開館になった。 (この項については下欄美術館建設運動小史をご覧ください)
中信美術会創立60年には、松本市制施行100周年・中信美術会創立60年記念事業として、松本市美術館主催・中信美術会主催 「松本平の近代美術」−美術館を夢見た作家たち−展が松本市美術館で開催された。この展覧会では、あらためて中信美術会に関わられた群像が返り見られ、素晴らしい展覧会になったと自負している。
創立66年を迎える中信美術会を支えてきたのは、創作活動の発表の場である中信美術展の作品群である。 この66年をかえりみれば美術会の先達の方、会の為に尽力された方、それらを支えてくださった市民の有志の方々、そして中信美術会会員の方々のお力添えがあればこそである。 多くの会員の方が美術会を過ぎ去って鬼籍に入られた。
わたくしたちは中信美術会の歴史をとどめることなく、全会員が中信美術展覧会の盛会の
ために、一層の努力を欠かせないのではないか。
委員長
清沢龍美
事務局
〒390-1401
長野県松本市波田6558-1
古畑睦弥
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