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今月のア・ラ・カ・ル・ト
3月のアラカルト
弥生 3月になりました。先月は大寒波の襲来予報で身構えましたが、さいわい中信地域は厳しい冷え込みだったものの降雪量は少なくて助かりました。
BSで再放送されている連続テレビ小説「カーネーション」を視聴しています。世界的なデザイナーであるコシノジュンコ3姉妹のお母さんの物語です。特に戦後になってディオール、イブ・サンローラン、カルダンなどのデザイナーやサックドレス、プレタポルテ、ミニスカートなどが出てくると、この小説と同時代に、同じ服飾の世界にいた或る人との出会いと交流に私をいざなってくれました、
60年近く前のこと、両親にKさんから仲人の依頼がありました。お相手は赴任していたドイツで出会ったB服装学院の先生。二人ともアラフォーの熟年結婚でした。初めて彼女に会った印象を、令和ギャル風に表現すると「ヤバッ!メッチャカッコエエヤン。バエル~⤴」。Kさんと彼女はお互いを「ボキ」、「アニキ」と呼んでいました。ボキはドイツ語で「小鹿」という意味だとのこと。本当に小鹿のように細身のボーイッシュな女性でした。ボキさんは仕事で東京に、Kさんは独身寮での別居結婚。月に一度はボキさんに大阪での講義があり、我が家がお宿になりました。私はボキさんの来阪がとても楽しみで、夜更けまで母とともにファッションなど多岐に亘る話題で話が尽きませんでした。ボキさんも両親をパパさん、ママさんと呼んで慕い、特に母の作る家庭料理を覚えようとされていました。私も感覚的なものを学んだように思います。
その後、Kさんのポーランドやニューヨーク勤務があってボキさんも同行、退職後はKさんの出身地である静岡に家を新築。富士山を身近に感じたかったということで、特にお風呂場の窓外にドーンと富士山が聳えていて圧倒されました。赴任先で求めたアンティーク家具や食器に囲まれて、お洒落な暮らしを楽しんでおられました。
Kさんが、父が、そしてボキさんが黄泉の人となり、15年ほど前にお身内から「家を人手に渡すことにしたから欲しいものがあったら取りに来てください」との電話がありました。すぐに息子と行きました。どれも魅力的で欲しいものばかりでしたが、車に載せるには限度があり、大きな天秤やサモワール、ランプシェード、食器などを頂きました。健在だった母は私の元に二人の所縁の品が来て喜びましたが、ほどなく急逝しました。遠くなった楽しい思い出です。(K.M)
委員長 中村 勤
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