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★★★ 連綿と続く芸術への熱き想い ★★★


今月のア・ラ・カ・ル・ト

12月のアラカルト

大晦日 定めなき世の さだめかな      井原西鶴
〈世の中はどのようなことが起こるかわかりませんが、一年の終わりの大晦日はきちんと来ました。〉

12月師走です。毎年、毎年繰り返す「早いですねぇ!」の会話。本当に一年の早いこと、早いこと。大掃除をしなければ、年賀状の用意をしなければ・・・気ばかりが急く月です。
12月14日は「忠臣蔵」で知られる赤穂浪士の討ち入りの日です。江戸時代中期に起きた復讐譚として広く知られており、小説はもちろん映画、浄瑠璃、歌舞伎など数多い媒体を通じて語り継がれています。最近、諸田玲子著の「森家の討ち入り」と「四十八人目の忠臣」を読みました。どちらも忠臣蔵にまつわる話でした。大雑把な筋書きは、前者は備中国美作の森家十八万石の城主が不祥事などでお家取り潰しなりましたが、主家を失った藩士3人が赤穂浅野家に仕官した後に討ち入りに加わった話をもとに、彼らに思いを寄せる森家の人々が描かれています。後者は浪士の一人と相思相愛だった女性(後の将軍の生母、月光院)が主人公で、突然の出来事に翻弄されながら、浅野家のお家再興や遠島送りとなった浪士の遺児達の復権に奮闘したので、四十七人の浪士に加えて表題の「四十八人目の忠臣」となっています。主人公だけでなく他の多くの女性の働きも含めて一人とした、と作者は語っています。歴史的事実を基に、作者の豊かな想像力、感性で編み出されたフィクションです。
私はこの中で、午前に江戸城へ登城した殿さまが夕方には切腹、急報が届いた浅野家における上へ下への狼狽ぶりが描かれているところに一番注目しました。現代のように情報伝達手段が乏しい時代の突発事件に何が何やらわからないままに大きな渦に巻き込まれて、奥方はその日のうちに落飾。家臣は一瞬に地位も禄も家も失い、家族共々路頭に迷う。使用人もまたしかり。早馬で知らされた国元でも同じ騒動が。殿様を頂点とした三角形で成り立っていた藩がたった一日で瓦解してしまう。〈浅野家はお取り潰し、吉良家はお構いなしの不公平な裁定〉を下された殿様の無念を晴らしたいと武士の忠義が起こした事件に、大衆の熱気が盛り上がったのは、幕政への不満が高まっていたからだそうです。
「定めなき世」、今後も世の中がひっくり返るようなことは起こりうること。コロナ禍もその一つだと思いますが、今のところ落ち着いています。このまま大晦日を、と願うばかりです。(K.M)


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